日本における消費者金融と金融の将来

日本における消費者金融と金融の将来

 日本が借金大国と呼ばれるのは、国債発行残高が2011年現在で768兆円もあるからなのです。マスコミで引用された日本の債務問題の表現に「年収420万円の給与所得者が4500万円のマンションを住宅ローンを組んで購入したものの、生活費が足りなくて毎年360万円の借金をしながら生活している」と言うものがあります。これだけの借金がありながら国際的な信用格付け会社は、日本に対して上位の評価を崩していません。理由は「返済能力が高い」からです。別の例え話に「日本は借金(国債)が多いが身内(国民)から借りてるだけだから心配する必要がない」があります。しかも、その身内(国民)はまだまだ貯金がある、と言われているのです。

 しかし、国民の感覚で言えば長引く不況で閉塞感を拭えないのが現実ではないでしょうか。大きな借金を抱えている国は、やはり居心地が良くないのです。これは国でも個人でも同じです。国の財政と家庭の家計は同じ観点では語れませんが、やはり過剰な借金は先行きの不安を招いてしまうのです。一時期、社会問題にまでなった消費者金融は借金のイメージを著しく低下させてしまいました。この「サラ金問題」は多数の破産者を生み出し、消費者保護の観点から法改正にまで発展していったのです。

 過剰な貸し付けや強引な取り立ては確かに社会的モラルから逸脱していますが、サラ金問題はこの業界にだけ責任がある訳ではありません。日本は経済的に破綻した人の最後のラインを破産制度で救済していたり、上限金利を超えた過払い利息の返還請求を法によってサポートしていますが、実際に融資を受けたのは消費者自身だったのです。このサラ金利用者達は単なる被害者だったのでしょうか。

 2010年に消費者金融のある会社は会社更正法の適用を受けました。一時期はテレビコマーシャルを大々的に展開して巨額の収益を上げていた業界最大手のこの金融業者は、膨大な過払い利息の返還によって破綻に至ってしまったのです。栄華は一時のものでした。バブルが崩壊した当時は、永遠と思われた勝者が惨めな敗者に転落していく姿が珍しくありませんでした。桁外れの繁栄は砂上の楼閣のようなものだと歴史が教えています。日本の金融は明るい将来を手にする事ができるか、また「堅実に前進する」この日本人本来の姿を取り戻す事がキーワードとも言えます。