銀行の取り扱う個人向け融資の主力は住宅ローンです。この人生で最も大きな買い物をする為には、何十年もの住宅ローンを組むのが一般的です。このローンを契約する為には、様々な準備書類が必要です。特に、返済能力に関しては担当者から厳しく審査されますが、高額の融資を受ける上では当然のチェックと言えるでしょう。この住宅ローンは、融資実行と同時に対象物件に抵当権が設定され、契約者には死亡時にローン残高を相殺させる団体信用生命保険の加入が義務付けられているのです。つまり、返済能力、担保、生命保険と何重にも保全措置が取られているのです。
この長期で抵金利の住宅ローンは、返済予定も家計の中に含まれています。バブル以降、この家計のやり繰りがうまくいかなくなった時に利用されたのが、高金利の消費者金融だったと言われています。家計の中で堂々とした位置を占めていた住宅ローンに比べて、消費者金融は家族には内密に利用されたケースが多かったようです。支払いが困窮した時の一時的なサラ金利用は、出来れば知られたくない。そんな思いをする程消費者金融は後ろめたいものだったのです。
数々のトラブルを起こした社会的問題から法改正までに発展した消費者金融業界は、多くの過払い金返還による業績不振によって企業変革を余儀なく迫られます。消費者金融最大手だった武富士は膨大な過払い返還が引き金になって破綻に追い込まれ、同じく大手だったアイフルは業績悪化から巨大債務の支払い猶予を申請しています。
しかし、生き残りを図っているプロミスは三井住友フィナンシャルグループの一員であるSMBCコンシューマーファイナンスとして、アコムは三菱UFJフィナンシャルグループの一員として業界に留まっています。「ほのぼのレイク」で知られたレイクも、現在では「新生銀行カードローン・レイク」の形で名前が存続しているのです。あれだけ距離のあった銀行と消費者金融は今や同一グループで巻き返しを狙っています。法改正によって金融業界は大きく姿を変えたのです。