消費者の金融に関する個人情報を管理する機関は一つではありません。まず、銀行系の全国銀行個人信用情報センター、クレジット関係のシー・アイ・シー(CIC)、そして消費者金融に関する日本信用情報機関(JICC)の3機関が個人の信用情報機関になります。
以前は、この3機関相互の情報共有はされていませんでした。極端な話、銀行ローンで融資を受けていて延滞事故を起こしてもクレジット審査には影響しなかったり、逆に消費者金融で多重債務状態になっていても銀行のローン審査に通るケースもあったのです。これでは、本当の意味での健全な信用情報とは言えず、消費者保護にもならなかったのです。
この経緯を受けて、2000年前後から各個人情報機関同士の情報交換が開始されます。
後の総量規制に繋がる、個人それぞれの融資全体の把握が実現した事になります。銀行で融資を受けたお金も、消費者金融で借りたお金も同じお金なのです。これは、業者側にすれば過剰な貸し付けによる金融事故の防止になり、同時に消費者保護になる訳です。
ただ、この2000年頃に始まった個人情報の相互交換は別の問題を発生させる事になります。既に複数の業者から借り入れている多重債務者に取っては、逆に困窮が増えていったとも言われています。新たな借り入れや融資可能額の増額が望めなくなっていたのです。本来なら、この時点で何らかの根本的な解決策を探るべきだったのですが、どうしても今日中に返済額の現金を作る必要がある債務者は、藁にも縋る思いでヤミ金業者に救いを求めてしまいます。当時のスポーツ紙や夕刊には「多重債務者歓迎」や「ブラックOK」の小さな広告がひしめいていたと言われています。悪質なヤミ金業者は、規制強化さえ金儲けのチャンスにしていたのです。